5章 肥満・糖尿病と歯周病の奇妙な三角関係

肥満者や糖尿病者は歯周病に罹りやすい。このことを示す有名な事実がm著名な肥満を呈し世界で最も高頻度に2型糖尿病を発症する米国アリゾナ州在住のPima Indianでは糖尿病者で若くして重度の歯周病が発生する、ということであろう。Pima Indianでは15歳から34歳までの糖尿病患者のうち実に半数近くが歯周病に罹っているといわれる。


軽微な慢性炎症とインスリン抵抗性


一方、肥満・糖尿病で重症化した歯周病は逆に軽微な慢性炎症としてインスリン抵抗性惹起要因となることが判明している。肥満者の内臓脂肪には腫瘍壊死因子(TNF-α)が高発現しており、このTNF-αが肥満者においてインスリン抵抗性を惹起することがわかっている。TNF-αは脂肪組織で産生されるアディポサイトカインの一つであるが、元来マクロファージから産生され炎症の成立と進展に重要な働きを示す炎症性サイトカインとして知られている。グラム陰性菌は、リポ多糖からなる内毒素を産生する。内毒素はマクロファージからTNF-α産生を促進する。これらのことから、肥満者では脂肪組織由来TNF-αが、一方重度歯周病患者ではマクロファージ由来TNF-αがインスリン抵抗性を惹起するものと考えられる。(下図)

5章 肥満・糖尿病と歯周病の奇妙な三角関係

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