以前からLPSが非アルコール性の脂肪性肝炎(NASH)の原因である可能性は指摘されていたが、これまであまり研究されてこなかった。歯周病の原因となる菌の多くはグラム陰性菌でLPSを周囲に張り付けており、これらは常に持続的に血中へ移行している。つまり歯周病が肥満の原因のひとつとなっている可能性が考えられるのである。我々の研究からも、歯周病患者の血液検査の結果は脂肪肝を示唆させる検査結果と非常に強く関連していることが明らかになっている。また、最近話題のメタリックシンドロームと歯周病が関連していることや、歯周ポケットが深いと血糖コントロールが悪化しやすいことなども明らかにされてきた。
あまり食べないのに太りやすいという人は、腸内や歯周ポケットに内毒素を保有するグラム陰性菌をたくさん持っているのかもしれない。肥満が気になる方はやはり歯周病の検診を受けるべきであろう。