ストレスを受けると、脳下垂体からの刺激によって、カテコールアミンとコルチゾールという2つの副腎皮質ホルモンが分泌される。これらは'ストレスホルモン'とよばれ、ノルアドレナリンもその一つである。Saitoらは、歯周病原細菌をノルアドレナリンの存在下で培養し、病原性の変化について解析している。ノルアドレナリンは、P.gingivalisの重要な病原因子であるジンジパイン(gingipain)の発現に影響を与えていた。この結果は、ストレスが歯周病原細菌に影響し、それによって歯周病の発症と進行にも関わっていることを示している。


ストレスと歯周病


口腔内バイオフィルムであるデンタルプラークに潜む歯周病原細菌は、しばしば血流中に侵入し、菌血症を引き起こす。そして、他の臓器に移動し、たとえば心臓に付着すると細菌性心膜炎となる。我々はそれらの病原細菌に対して、おもにマクロファージや白血球が担っている自然免疫と、リンパ球を中心に特異的に作用する獲得免疫とで対抗している。唾液中に含まれるリゾチーム、ヒスタチン、シスタチンなどの抗菌性タンパク質は、細菌の繁殖や毒素を抑えたり、免疫系を調節したりして感染防御にはたらいている。免疫を担当する細胞は、病原細菌の情報を提供したり、その動きを封じ込めたり、排除したり、破壊したりしてインベーダー細菌と戦っている。しかしこの反応が、必要以上に激しくなるとアレルギーなどの障害を引き起こす。
樹状細胞やマクロファージなどの細胞は、より防御的にはたらく細胞を血液から流入させるサイトカインを産生し、そしてそれらは炎症反応も活性化させる。


ストレスと歯周病

04-7199-8836

MAP

マハロ会SDGs

メニュー